支部長あいさつ_海野支部長

支部長あいさつ

平安時代より1000年の歴史を誇る【鉄の文化】【黒金の美】
日本刀を紹介致したいと存じます。

反りを付けてより美しい姿に、焼入れする事により強靭な刃を付け、しかも青黒く鍛え上げられた地金、さらに雲をイメージした様な美しい刃文を作り出す。

その結果【折れず曲がらず良く切れる】と言う世界に冠たる日本刀が出来上がったのです。当時の日本は摂関家の藤原氏が活躍した貴族全盛の時代、何故この様に宮廷文化華やかな豊かな時代に日本刀の誕生を見たのでしょう。

これは奈良、平安と続いた律令制国家の衰退に伴い貴族や寺院達が全国各地に荘園を持つ様になった為であります。つまりその土地を守る為平氏、源氏等の武士達が誕生し、表道具としての日本刀が誕生した訳です。【一所懸命・いっしょけんめい】なる言葉がそれを如実に物語って居ります。以来幕末まで武士の腰間を飾ったのでありますが、特に江戸時代においては武器と言う事に留まらず武士道精神の拠り所をこの刀に求めたのでした。

時に天正16年・刀狩り、明治4年・廃刀令、昭和20年敗戦等々の刀狩り受難にも係わらず今日200万本を超える刀が残されていると言われて居ります。しかも現在尚200人を越す刀工が居り、切れ味豊かで美しい刀を作り出す為多くの研師達が活躍しております。簡単に錆びを生じ、消滅してしまうこの鉄の作品を先人達が如何にして守り、伝えて来たかと言う事も是非知って頂きたいと思います。

刀の美しさを知って頂く事、その刀を後世に伝えて行く事この二つの目的をもって昭和23年、財団法人 日本美術刀剣保存協会が発足しました。昨年の4月より行政改革の一環として公益財団法人に改称されて居ります。静岡県支部も昭和27年発足、今年で61年を数えます。2ヶ月ごとに鑑定、鑑賞会を行い、又初心者講座等も準備致しております。本物の刀を実際に手にとって鑑賞して頂き、合わせて歴史のロマンを感じて頂きたいものです。

 日本美術刀剣保存協会 静岡県支部長       海野 宏之