1 10月

佐野美術館 日本刀初心者講座上級コース

今回は枡田さんの佐野美日本刀講座のレポートです。

佐野美術館主催九月度日本刀初心者講座上級コース受講報告

青空が広がる好天のなか、佐野美術館に付属する隆泉苑の紅葉がウッスラと
色づき始めた仲秋の二十八日、九月度の日本刀初心者講座に出掛けました。
今月は解紛記の第五回目で大和物中心の講義でした。
解紛記を読み合わせした後、講師の渡辺館長から大和物全般に亘る解説を戴き、
入札鑑定に移りました。講義のテーマに添って鑑定刀は全て大和物でしたが、
大和物の共通点と流派の相違点が比較出来て、大変勉強になった講座でした。

鑑定刀
一号刀  古千手院  太刀
     生茎、目釘穴一つ、完存の細身の太刀姿は腰反り高く踏ん張り付き、
          先へ行って伏しごころとなり小峰に結ぶ優美さに感動。棒樋を掻き流
          す。地鉄、板目、刃縁に沿って柾流れる。刃文、細直刃、ほつれ、二
          重刃交じり、刃中金筋頻りにかかる。帽子、小丸品よく僅かに返る。
          大和物にあって一段と古色を感じさせる見所の多い名品。

二号刀  当麻  刀
     身幅広めで元先の幅差さまで広がらず、鎬高く、重ね厚くガッチリと
          し、反りの浅くなった磨上げ姿。手持ちが重く感じられる。地鉄、板
          目に地沸良くつき、地景交じる。刃文、沸出来、互の目調に小乱、足・
          葉良く入り、物打辺から焼き深くなり、二重刃、湯走りかかる。帽子、
          表裏とも焼き詰めて掃きかける。地鉄が魅力的でした。

三号刀  包永   太刀
     身幅尋常で中反り、鎬高い太刀姿。地鉄、板目、刃寄り柾がかり、地
          沸つく。刃文、区際を細直刃調に低く焼き出し、所々浅いのたれを交え、
          ほつれ、二重刃かかる。物打辺から焼きを広める。沸所々強くつく。
     帽子、表、焼詰、裏は小丸。茎尻に二字銘。包永の典型作。

四号刀  保昌貞宗作  短刀
     内反り尋常で重ねの厚い姿。庵棟。地鉄、柾目。刃文、直刃に陰の尖
          り刃入る。帽子、焼き詰めて掃きかける。彫物、表は素剣、裏は護摩箸を
     深く彫る。頭が張って先尖るのは大和の特徴。健全な短刀でした。

五号刀  和泉守兼定  刀
     身幅尋常、反り浅く、平肉薄く重ねがやや薄い手持ちの軽い打刀姿。
          地鉄、板目が詰み、白けごころとなる。刃文、匂本位、高低のある互の目、
          互の目丁子、尖り刃交じり、所々底が欠け出しごころとなる。帽子、
          地蔵風。差し込み研ぎで、刃文が良く見える。

参考刀  包永  太刀
     身幅広く、元先の幅差さほど開かず、中切先の雄渾な体配。このような
          陽の太刀姿の包永を初めて見ました。棒樋に連樋を彫る。
     茎尻に二字銘あり。二代。

大和物の解説
・ 大和物の柾目は刃縁に沿って流れる。
・ 疲れの出た山城・相州・備前物にも刃縁に柾が流れる。
・ 大和物・相州物は区際を低く焼き出し、物打辺から焼幅が広くなる。備前物はその逆である。
・ 大和物の彫は素剣の剣先が鋭く尖り、山城・相州・備前の素剣の剣先は丸みを帯びる。
・ 保昌の柾目を良く見ると、柾目の線に沿って杢が交じる。
・ 大和物の反りは千手院が腰反り、当麻・手掻・尻懸は中反りとなる。
・ 包永の銘は「包」が横長になるのは初代、「包」が縦長になるのは二代である。
・ 包永の帽子は、表と裏で焼詰と小丸になる。

以上です。