22 6月

平成29年度 第2回 日本刀初心者講座 (基礎編)

今年度よりご入会いただいた本杉さんより日本刀初心者講座(基礎)の様子を
ご投稿いただきました。
杉浦が書くチャラい投稿文と違い、本杉さんの投稿文は非常に丁寧でしっかりとした
文章で表現豊かだなぁと感心しきり・・
お忙しいところご対応いただきましてありがとうございました。
今後とも静岡県支部のことをよろしくお願いいたします。


六月十八日、第二回目となります静岡支部の日本刀初心者講座が開催されました。
私は本年度より会員の末席に加えていただきました、本杉と申します。
今月は私が講座の模様をご報告させていただくことになりました。
今回は、会員の方のみならず支部のホームページをご覧になっている方、入会を
検討中だがどんなことをしているのか疑問に思われている方のためにも、入会して
日の浅い者の立場で会の様子をご紹介したいと思います。


小糠雨のしずかに降る初夏の日曜日、静岡市護国神社のすぐ近くにある柚木公民館に、
県内各地より刀剣を愛する様々な人びとが集まり、刀の勉強と鑑賞とを行いました。
今回の講座のテーマは「姿」、反りや身幅、鋒の違いを時代ごとに見てみよう、と
いうものでした。
会場にはすでに時代の異なる五振の刀が用意されています。今回観ることのできた刀を
古いものから順に記載しておきましょう。

一、 波平  行安
二、 手掻  包利
三、 備前  祐定
四、 飛騨守氏房
五、 大和守安定

鎌倉時代の古刀から江戸時代の新刀まで、ひと振ずつ講師の先生が手に取り、どのように
移り変わっていったのかを歴史的な背景とともに解説してくれます。茎を基準にこうして
離れて見てみますと、反りの描く線の違いがよく分かります。写真でばかり刀を眺めて
いたころは、「古刀の反り」といわれても何が違うのかさっぱり分からなかったのですが、
こうして数例を並べてみて、また正しい持ち方を見につけることで、ああ反り具合とは
こうして測るものなのかと体得することができます。

IMG_0386

1497929886456

四十分ほどテキストを参照しながら座学を受け、いよいよ刀を手に取って間近で拝見できます。
この際の作法や注意点などは第一回で学ぶことが出来ますし、不安なことはいつでも
質問・相談できます。
今回のお刀…
波平は古風な反りの太刀、鋒先も他の刀に比べ小振りで、奈良や京都の風雅をそのまま南国に
持ち込んで潮風に洗いさらしたような美刀、なぜか波平大好きな私は心のなかで
「よか!よか!こん刀ばよか!」と感激ばしておったでごわす。

ともすれば古雅すぎて奇異にも見える(あくまで新刀を見慣れた目には、ですが)鎌倉刀
ですが、お次の手掻から備前にかけて見ていきますと、実用の面から幅が広くなったり
鋒先が大きくなったりしながらも、太刀造りの詩情や高貴さをなお遺し 用の美と様式美が
共存し、古刀にはやはり言葉にはできない、なにか魅せられるものがあるものだ、この姿
ひとつ見ても…と思わず溜息が出ます。

面白いのは、幾度か刀の姿は先祖還りしているという点です。今回の講座で初めて
知りました。応永で一度鎌倉に似てくるとか、戦国期に再び南北朝期に倣う、など…。
これは非常に興味深く拝聴しました。こういった歴史的な知識を、実物を間近に見て確認・
体験できるのは、この講座の素晴らしいところです。

たっぷりと時間を取って自由に鑑賞し、講師の先生やこの道の先輩に質問をする人、
同好の者と歓談する人、手持ちの資料でさらに深く調べたり復習をしている人、
気に入った刀を名残り惜しそうに何度も手に取る人、刀の迫力と色気にアテられて
放心状態の人…皆さんそれぞれに刀との時間を楽しみます。最後に席に戻り先生が質問を
受けつけてくれますが、私は聞きたいことは山ほどあるのですが頓珍漢なことをお尋ね
してしまいそうで二の足を踏んでしまい、杉浦先生に相談したところ、事前に次回の
テーマでの質問を投書式でメールしてもよいそうです。
これは非常に助かります。ありがとうございます。

初心者講座はこのような雰囲気です。
分かりやすく、門口は誰にでも広く開かれており、さらに協会や会員の協力により
素晴らしい刀の数々を手に取って見ることができます。

私は生来刀好きで、居合道も嗜みますが、これまでは独学で刀を勉強したり、写真を
見たり、敷居の低そうな刀屋さんでおそるおそる刀を見せて貰ったりで、なかなか
正式な会に入り基本から学ぶとなると、必要性は感じていてもなんとなく臆して
いました。なんとなく日本刀っていいな、と思っていても、多くの人はそんな状況で
あるかと思います。刀の解説を見ても、専門用語ばかりで(まるで呪文のようです)
何が書いてあるかさっぱり分からないし、たまに博物館や美術館で刀剣展に行っても、
長いか短いかくらいしか違いが分からない、分かればもっと楽しめるのにな、といつも
残念に思う。美しくて、かつ崇高なものなのは感じるけど、それがどこから来るのか、
数百年を生きてきたこの刀は、その内に何を宿しているのだろう、作者はこの刀に何を
込めて創造したのだろう、それをどうしたら聴きとれるようになるのだろう…。

知る喜び、体験する喜びは、その対象が難解で奥深いものほど大きいようです。
こうして刀の持ち方から、各部の名称、特徴をあらわす専門用語用語を少しずつ学び、
理解して、あらためて刀身を眺めてみますと、無表情に見える金属の一本道から、
膨大な情報と輝き、多次元的な躍動や跳躍が浮かびあがってきます。未だ学び始めの
私でさえ、幾つかの要素については見えるようになり、こうして刀との繋がり、交流を
楽しむようになりました。そして、見たいと思っていた刀が鑑賞の場に出てきたときの
喜び、興奮。私は鎌倉期の粟田口に古波平、大和守安定など、大好きな刀をこんなに早く
立て続けに見られて歓喜しております。ただ名前を知っている刀工が出てくるだけでも、
心躍るものです。こうした機会が何度もあるのは、幸福なことです。


長々と書き散らしてしまいましたが、是非ともさらに多くの方が刀に興味を持ち、
その正しい知識と取扱いを身につけていただきたいと思い、会の様子をご紹介させて
頂きました。講師の方は優しく丁寧に教えてくださいますし、ベテラン会員の方も
気さくで話しの面白い方ばかりです。このような集まりにありがちな、排他的な雰囲気や
閉塞感は、感じられません。歴史好き、工芸好き、古いもの好き、
武術好きなど、色々な切り口で刀に惹かれ皆さん集まっておられるので、しぜん人にも
興味がわいてきます。


初心者講座ご出席の皆さま、お疲れ様でした。運営に携わって頂いた方々、
ありがとうございました。次回もよろしくお願い致します。
新暦での夏至もすぐそこ、これより暑さも本番かと思われますが、どうぞ涼しく
健やかにお過ごしください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です